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翻訳とローカリゼーション

 

ローカリゼーション(ローカライゼーション/localization)は、一般に局地化、現地化、地方化のことをいいます。翻訳の世界では、ソフトウェアの各国の仕様に変更する現地語化がこれにあたります。

とはいっても、単純に言語を置き換える翻訳をすれば済むものではありません。ソフトウェアの翻訳には、マニュアルやヘルプ画面のほか、プログラムそのものも変更する必要が出てきます。わかりやすい例を出せば、ワープロソフトにある縦書きやルビの機能。これらはもちろん、元になった英語版には必要が無かった機能です。一つの機能が加わることで、プログラムの中身、ヘルプ画面、エラー表示に至るまで、元には無かったものが追加されるのです。

 

もう少し広義で捉えてみると、ソフトウェアに限らず印刷物や web でもローカリゼーションは必須です。国ごとに取扱製品が異なる場合に、カタログに掲載するラインナップを変更するのもその一例でしょう。また、語呂合わせで作ったキャッチコピーなどは当然、そのまま翻訳しても意味が通じません。この場合は、新たにコピーを書き起こさなければなりません。

 

さらに一歩踏み込むと、これは対象となる国・地域の文化や風習まで考慮する必要がでてきます。普段何気なく使っている和製英語や、なんとなく格好良いというだけで使用している欧文の表記にも、現地の人が見たら別の意味に受け止めたり、笑ってしまうようなおかしな表現だったりすることもあります。

 

デザイン面でも、国によって好まれる色遣いや書体は異なります。一般的に、中国では赤や黄が好まれますが、日本では原色よりもやや落ち着いた色遣いが多いですね。ヨーロッパとアメリカでも、デザイン性には違いがあります。全世界で通用するものを目指すのであれば、どこかで気に入られる、というよりも、どこからも嫌われない、最大公約数的なシンプルなものになっていくのかも知れません。

 

もうひとつ気をつけなければならないのが、web の言語選択などで度々見かける「国旗」を言語として選ばせる方法です。英語なら星条旗、中国語なら五星紅旗、韓国語なら太極旗・・・イギリスやオーストラリア、台湾、北朝鮮の人が見たらどのように感じるでしょうか。あまりお勧めできない手法です。

 

近年では特に、批判的な内容はインターネットを通じて瞬時に広がってしまい、一度世に出た情報は回収が困難です。どのような媒体であれ、ローカライズの際には、翻訳だけでなく内容についても一度ネイティブの意見を聞いてみるのがいいですね。

 



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